日本対外文化協会の趣旨
日本対外文化協会(略称・対文協)は、1966年に、故松前重義博士(前東海大学総長)によって創設された国際友好団体です。60年代、当時は日本とソ連の両国関係は最も困難な時代で、冷戦下、ソ連、東欧諸国とは民間交流でさえ難しい時代でした。その中で市民レベルでの交流を果たそうという目的を持って設立されました。時代の大きな流れはその後1991年にソ連の崩壊という歴史的な変革で、画期的な変貌をとげました。それまでの間、当協会は国民同士、市民レベルでの文化、学術交流を続け、「恒久平和の確立」という永遠のテーマを追い続けてきたのです。
現在では、もはやイデオロギーの対立といった厳しい世界情勢は解消されたものの、それでもなお宗教対立、民族紛争は絶え間なく世界のどこかで起きています。まさに「文明の衝突」が21世紀の最大の問題です。
このような時代であるからこそ、民間レベルでの平和運動は必要不可欠な時代となりました。当協会は、その歴史からいって、旧ソ連・ロシア、CIS諸国、東欧諸国との交流を運動の柱としております。しかし、現代はすでに国境をこえたボーダレスの時代です。当協会は1993年5月に総会を開き、従来の運動の枠を越えて、民間外交を展開してゆく「基本方針」を採択しました。そこで、中国、韓国、タイなど広くアジア諸国や、ヨーロッパ諸国との交流も可能なかぎり進める、新しい活動に入っております。
こうした状況の中で、最も力を入れているのはやはり、新生ロシアとの交流です。平和条約が未だに結ばれておらず、政府間交渉は困難を極めています。そこで、当協会はこうした未解決の問題を乗り越えて、民間外交の日本側の柱となるべく努力をいたしております。1993年には、新しく改組されたロシア科学アカデミーとの間で「学術交流協定」を結んだ他、モスクワ大学、サンクトペテルブルク大学との交流協定も結び、研修生の派遣等も行なっております。
積極的な啓蒙運動のひとつとして、各種の研究会、シンポジウムなども随時行い、日ロ関係の改善に努力をしております。
また、ヨーロッパでは、ブルガリア、スエーデン、ハンガリーなどとの交流を目指して各種の企画を検討しております。 こうした活動は、ご趣旨にご賛同を戴いている法人会員、個人会員の皆様の浄財によって賄われております。常に平和な世界の創造を目的とした運動に、多くの皆様のご参加をお願い致します。