321号(2016・1・29)
対文協創立50周年および年頭あいさつ
明けましておめでとうございます。
日本対外文化協会は1966年1月10日に創立され、この1月で満50年を迎えました。創立当時のことを少しお話ししますと、その準備は1964年の10月初旬から始まりました。ちょうどアジアで初の夏季オリンピックとなった東京オリンピックが開催されていた時期です。
当時の河上丈太郎社会党委員長の意向を携えて、松本七郎議員が松前重義のもとを訪れたのが創立のきっかけでした。その内容は、成田書記長代表団が訪ソの際、フルシチョフ首相、ミコヤン副首相などソ連側との会談のなかで、「日ソ間の関係を発展させ、それを定着させるためには広範な学術・文化交流が必要である。両国民間の相互理解の発展の鍵となるのが文化交流である」との認識で一致したというものでした。
松前重義は常々ソ連、東欧諸国と深い人と人との交流をすべきとの意見を持っており、日ソ間の安定した国家関係を促進させることが必要と考えていました。そこで、河上委員長からの依頼でもあり、当時のソ連側にある民間交流団体「ソ連対外友好文化交流団体連合会(ソ連対文連)」のカウンターパートナーとなる、「日本対外文化協会(対文協)」の発足に向け準備を開始しました。対象国はソ連に限らず、東欧諸国も含めることにしました。
そして、創立の年の1966年に対文協はかねてから折衝を続けてきたソ連、ブルガリアと「学術・文化交流計画協定」を締結し、活動の第一歩を踏み出したのです。その後、ハンガリー、ポーランド、東ドイツ、モンゴルとも協定を締結。また80年代にはデンマーク、西ドイツ、スペインなどの国々とも交流を行うようになりました。
交流の内容は、大シベリア博、大恐竜展などの展示会。ポーランドの国宝絵画展など多くの国の美術展などの開催、またブルガリア国立ラジオ放送局ソフィア少年少女合唱団の日本公演やトラキア遺跡の黄金展の開催などであります。
学術面では日ソ円卓会議をはじめハンガリー、ポーランド、モンゴルなどとの円卓会議の開催、ジャーナリスト、エネルギー、海洋資源増殖などの専門家によるシンポジウムの開催、また、教育面での交流としては、日本の大学としては初めてとなる東海大学とモスクワ大学及びフンボルト大学との交換留学の開始。これはすでに40年以上続くものになっており、卒業生が多方面で活躍している様子を見聞きすると、その成果が大きく開花してきていると実感いたしております。本日もロシア、ブルガリア、ドイツ、デンマーク、カザフスタン、モンゴル、ノルウェー、フィンランドからの留学生が出席しています。
対文協創立当初の60年代から80年代までは東西冷戦の真只中でした。ソ連、東側諸国との交流はとても難しい時代でした。そのような状況下で対文協は民間団体として交流を活発に促進し、少なからず日本とロシア及び東欧諸国とパイプをつなぎ、学術・文化交流を架け橋に、相互理解と友好親善を発展させるため、精力的に草の根民間外交を進めてきました。それは今日でも、あるいは今後も変わるところはありません。
1989年の東西冷戦終結とともに、東側諸国に社会変革の波が起こり、世界は大きく変わりました。ベルリンの壁の崩壊、90年の東西ドイツ統一、91年のソ連解体と新生ロシアの誕生。その過程で対文協と交流のある団体も解体または改組を経験しました。東西対立の困難な国際関係の時代に民間外交を展開し、交流の道筋を拓いてきた松前重義は、新しい時代の到来を見届けながら1991年8月、亡くなりました。
こうした中で、対文協では新しい時代に向けての基本方針の策定を行い、国際交流を長期的な展望に立った新たなスタートを切りました。ロシア、NIS諸国並びにヨーロッパ諸国また中国、韓国などアジア太平洋諸国とも可能な限り交流を進めていくことにしました。研修生の受入・派遣、学術交流、教育・文化の紹介、視察団の派遣、各種情報の提供を行い、日本と諸外国との友好関係の発展に民間交流団体として寄与する目的は創立当初から変わるものではありません。
今日のインターネットの急速な普及は、団体、個人を問わず国際社会へ直接つながる時代となっています。そこには物理的な距離は存在しないと言っていいでしょう。時代と共に変遷していく国際環境や社会情勢に応じて、国際交流の手法も変えて行かなければなりません。しかし、人と人の真の触れ合いは、コンピュータを通してできるものではありません。直接肌で感じ合う会話が一層重要な時代であると思います。対文協はそのような、人と人との交流を大切にして行きたいと考えています。加えて対文協は単発のものではなく、長続きするような交流をしていきたい、そのように考えております。
創立50年の大きな節目の年の新春、気持ちも新たに創立の理念を噛みしめ「平和な世界」を旗印に、学術・文化交流を通して、日本と諸外国間の相互理解の促進に寄与できるよう活動を進めて参ります。 対文協の活動にご賛同いただき、ご支援ご協力いただいております会員及び諸団体関係者の皆様には深く御礼を申し上げますとともに、相変わりませぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げ、挨拶とさせていただきます。
[対文協だより]
* 日本対外文化協会創立50周年記念祝賀会・2016年新春賀詞交歓会を開催
対文協創立50周年記念祝賀会・2016年新春賀詞交歓会が1月25日午後6時から霞が関ビルの東海大学校友会館で開かれた。対文協の役員、会員をはじめ来賓、在京大使館員、関係者、留学生ら160名が出席、2時間半にわたって対文協創立50周年の節目のお祝いを行った。
松前達郎会長が創立50周年および年頭の挨拶を述べ(前項)、来賓のロシア連邦エヴゲーニー・アファナシエフ駐日特命全権大使、ブルガリア共和国のゲオルギ・ヴァシレフ駐日特命全権大使がそれぞれお祝いの挨拶を行い、アルメニア共和国のグラント・ポゴシャン駐日特命全権大使の乾杯で祝賀会が始まった。会場では東海大学の外国人留学生との交流風景もみられるなど、たくさんの人々の交流の輪が広がり、終始和やかで明るい雰囲気の祝賀会であった。
[特 集]
北コーカサスの対テロ組織IS最前線
<ブラースチ誌 2015年12月7日号>
[ロシアの新聞・雑誌から]
◇ プーチン:ソ連崩壊の罪はレーニンに <gazeta.ru 2016.1.21>
◇ ケリー米国務長官:対ロ制裁は近く解除 <kommersant.ru 2016.1.22>
◇ ロシア人も石油価格の下落を懸念 <kommersant.ru 2016.1.22>
◇ ガスプロム、トルクメニアとの契約破棄 <Kommersant.ru 2016.2.15>