293号(2013・9・30)

[対文協だより]

* 東海大学・モスクワ国立大学交流40周年

 日本対外文化協会とソ連民間交流機関であるソ連対文連との交流協定に基づき、初の大学間交流として1973年に東海大学とモスクワ国立大学が学術協力協定を結んで今年、交流40周年の節目の年を迎え、この記念の年をお祝いするため、東海大学代表団が8月末から9月上旬にかけてモスクワを訪問した。9月2日、約2000名が出席して行われたモスクワ国立大学の入学式の席上、松前義昭東海大学副総長・日本対外文化協会副会長に、これまでの両大学の交流の成果と松前副総長の教育研究活動に対して、モスクワ国立大学名誉教授の称号が贈られた。
 松前副総長は「日ロ両国が友好な関係を保ちつつ、それぞれに発展をし続けることができたのは、両大学の交流の成果でもあるのではないでしょうか。東海大学としては若者の育成を通じ、両国の関係がますます緊密になるよう努力を続けてまいりたいと考えております。」とスピーチした。
 これに先立ち8月31日には東海大学同窓会モスクワ支部の20周年を記念する総会がモスクワ国立大学内の日本センターで開催され、モスクワ在住の同窓生、学園校友会研修旅行の参加者、ならびに関係者を合わせて約80名が出席した。このほか両大学の交流40周年を紹介する写真展の開催や第2回日ロ情報安全シンポジウムなども併せて行われた。
 なお、これら一連の記念行事の準備、サポートのため、対文協からは渡邉隆司事務局長と工藤久栄職員が東海大学代表団と共にモスクワを訪問、モスクワ大学ほか関係機関との交流を行った。
  
*河上民雄顧問を偲ぶ会開く

 昨年9月22日死去された元衆院議員で東海大学名誉教授、日本対外文化協会顧問の「河上民雄さんを偲ぶ会」が一周忌にあたる9月21日午後2時から千代田区霞が関ビル・東海大学校友会館で行われた。河上氏は7期20年にわたり国会議員としてとくに国際関係に高い見識を持ち、野党ながら日本外交の進展に努めただけに人脈も広く、会には旧日本社会党関係者をはじめ国会議員、官界、マスコミ、一般支援者や東海大学、対文協関係者ら200人近い人が参列、故人の人柄を偲ばせた。
 一同祭壇に献花のあと、江田五月元参院議長、明石康元国連事務局次長、旧社会党幹部同人らがこもごも思い出を語り、参会者それぞれが写真に語りかけるように故人を偲んだ。

[新刊紹介]

『シベリア抑留全史』 長勢 了治著(原書房刊 定価8925円)

 第二次大戦後、旧満州の日本人兵士ら約70万人が、早期帰還をうたったポツダム宣言に反し、ソ連領シベリアに連行され、重労働をともなった長期収容所生活を送った実態はこれまで断片的にしか明らかにされなかった。著者は北海道在住のロシア語翻訳家で、旧ソ連で刊行された資料集と研究書と日本側関係者の抑留記や研究書を15年にわたって検証、その実態をまとめたその全容を描いた大作である。

『ガスプロムの政治経済学(2013年版)』 塩原俊彦著(Kindle版, www.amazon.co.jp 定価2,000円)

 本書は、主として経済分析を行う第1章と、政治分析を行う第2章からなる。第1章においてはシェールガス革命後のガスプロムが迫られている課題について、経済的考察を通じて明らかにしようとしている。第2章では、ガスプロムの重役会のメンバー、ガスプロムに関連する人脈に焦点をあてることで、人間関係に基づく政治的問題について分析する。
   本書はロシアの政治・経済・社会の中期的な展望を可能にすることを意図しながら書かれている。

[特 集]

「習近平時代を迎えた中国視察の旅」
                  愛華訪中団団長 平野 裕

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ サイバー攻撃に備え統一システム構築 (コメルサント紙 8月28日)

◇ モスクワ市長選はソビャーニン氏が当選 (コメルサント紙 9月10日)

◇ ロシア経済の予想は楽観できない状況 (コメルサント紙 8月27日)

◇ すべての日をお祝いしましょう (論拠と事実 No.37)

◇ 禁煙は国家予算に損害を与えるのか (論拠と事実 No.38)

[資 料]

「告発者スノーデンのロシア亡命顛末記」 <ブラースチ誌 8月12日>