246号(2009・10・30)

[対文協だより]

※ 第7回日ロ学術・報道関係者会議を開催
    
  日本対外文化協会が主催(ロシア外務省付属・モスクワ国立国際関係大学MGIMO共催、ロシアジャーナリスト同盟協力、国際交流基金助成)する「第7回日ロ学術・報道関係者会議」が2009年9月28日にMGIMOモスクワ国立国際関係大学で行われた。会議は2007年、2008年の過去2回に続き、「ユーラシアの発展の道を模索する」を共通テーマとするもので、この会議に出席する日本代表団は9月27日に日本を出発、6日間モスクワに滞在した。
  
  代表団は、大野正美・朝日新聞論説委員を団長に、座長の下斗米伸夫(法政大学教授)、飯島一孝(東京外国語大学・上智大学講師)、池田元博(日本経済新聞論説委員)、石郷岡建(日本大学総合科学研究所教授)、ヴァシリューク・スベトラーナ(アジア太平洋エネルギー研究センター研究員)、鈴木博信(桃山学院大学名誉教授)、高橋克秀(国学院大学教授)、高橋進(日本総合研究所副理事長)、趙宏偉(法政大学教授)、早房長治(政治経済評論家)、藤巻裕之(東海大学国際教育センター講師)、牧野義司(経済ジャーナリスト)、水野和夫(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)、宮脇磊介(世界平和研究所研究顧問)、山内聡彦(NHK解説主幹)、王敏(法政大学国際日本学研究所教授)、橘克子(対文協事務局長代行)、鍋谷真理子(対文協事務局)の一行19名からなり、佐藤親賢(共同通信モスクワ支局長)、日向寺康雄(「ロシアの声」チーフアナウンサー)岩下明裕(北海道スラブ研究所所長)氏らが会議に現地参加した。ロシア側からは学者、ジャーナリスト、大学院生などが多数出席した。

  会議は、「経済危機と東アジア」をサブテーマとし、午前10時からA.ボガトゥーロフMGIMO副学長と日本側座長の下斗米教授の報告・あいさつによって始まった。午前の第1部は「経済危機とブレトンウッド体制の今後」をテーマにで、ロシア側からV.M.ポルテロヴィチ新経済連盟会長が「世界経済危機の本質:『革新的休止』の仮説」と題する報告をした後、日本側から三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫氏が「21世紀:陸と海の戦い―ドル機軸通貨体制の行方」と題する報告を行った。さらにコーヒーブレイクをはさんで 日本側は日本総合研究所の高橋進副理事長が「国家の世代交代:機軸通貨の条件」、ロシア側はI.N.プラトーノワMGIMO経済関係学科学科長が「世界危機とブレトンウッド体制」と題して報告を続けた。

  昼食をはさみ、午後の第2部ではテーマを「経済危機の東アジア」に移し、高橋克秀・国学院経済学部教授が「中国は世界経済を救えるのか。リーマンショック後の世界景気」、V.V.ミヘーエフ世界経済・国際関係研究所副所長が「世界経済危機と東アジア」、政治経済評論家の早房長治氏が「北東アジア圏の行方とロシア:日本の役割」、G.F.クナーゼ・MGIMO教授が「北東アジアにおけるロシアと日本」と題して報告した。

  質疑応答のあと会場を移し、日ロ学者の論文を集めた本「東アジアにおける日本:内外からの計測」の出版発表会が開かれた。

  なお、日本代表団はモスクワ滞在中にモスクワ・カーネギーセンター、株式会社ガスプロム、「ノーヴァヤ・ガゼータ」誌、投資会社「ルネッサンス・カピタル」、総合戦略調査研究所、経済発展省、ラジオ「エーホ・モスクワ」、投資会社「トロイカ・ジアローグ」を訪問してそれぞれの幹部と会見した。

  一行は日本大使館の上月豊久公使に市内のレストランでの夕食会に招かれた。

  また9月30日には18時からモスクワ国際交流基金セミナールームでロ日協会主催(ロマネンコ会長)による講演会が開かれ、王敏教授が「日中交流の歴史と特色」をテーマに講演を行った。

  代表団のほとんどの団員は10月2日モスクワを後にし、第7回日ロ学術報道関係者会議と会見旅行を無事終えた。


  ※ ガスプロム付属学校生徒東海大学・翔洋高校訪問 
 
  ロシア・ガスプロム付属学校(非政府教育機関中等普通教育学校ガスプロム社教育センター)の生徒10名と引率教師4名の一行が東海大学付属翔洋高校と交流するため10月24日成田空港に到着した。一行は二日にわたって翔洋高校の生徒たちと交流を深め、「ウグラ国立公園環境保護調査」「私の薬草園」「パガニーニは天才か、それともただ運がいいだけなのか」と題する研究発表を英語で行う。さらに、学校のクラブ活動のモードクラブが持参したコレクションでファッションショーを日本の生徒たちに披露した。ガスプロム学校生徒たちは都内のほか日光・山中湖・清水を旅行して11月2日に帰国する。


※ 第89回研究会開く  
 
  対文協の第89回研究会は9月15日午後6時から、霞が関ビル・東海大学校友会館において、元日本経済新聞編集委員で現在、国際問題ジャーナリストとして活躍されている江頭寛氏を講師に迎え開催。江頭氏は「ロシア外交の転換と日ロ関係」と題し、政権交代後の対ロ外交の行方などについて、示唆にとんだ話を展開、参加者の関心を呼んだ。

  なお、会場には議員交流で訪ロを前にした江田五月参院議長も出席した。(講演要旨はニュースレター245号に掲載)  

[特 集]

◇ 「反響を呼ぶメドベージェフ論文」
     <ブラースチ誌 9月21日号>

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ 大統領と首相が次期大統領選を語る (コメルサント紙 9月16日)

◇ ロシア領上空を米軍事物資輸送に開放 (コメルサント紙 9月8日)

◇ ソチ冬季五輪施設の真の値段は半分以下か (論拠と事実 №40)

◇ 欧州とアジアの交差点、カザフスタン (論拠と事実 №42)

◇ 空。飛行機。女子。 (論拠と事実 №39)

[焦 点]

日米「対等関係」をオバマ大統領に認識させる機会
      加藤 順一(ジャーナリスト)