233号(2008・9・29)

[対文協だより]

※ 第7回ロシア語検定試験終わる 

  第7回ロシア語検定試験が、8月29、30、31日の3日間にわたって東海大学代々木校舎で実施され、6つのレベルで49名が受験した。サンクトペテルブルク大学のオリガ・ラザレワ、札幌大学からジュダーノフ、ジュダーノワ、東海大学の山下万里子各試験官が対応した。ロシア教育科学省が発行する認定証は10月中旬には合格者の手元に届く予定だ。


※ ガルージン駐日ロシア公使の送別会 

  7年に及ぶ日本勤務を終え帰国する駐日ロシア公使のミハイル・ガルージン氏の「さよならレセプション」が9日26日6時半から、麻布台のロシア連邦大使館で開かれ、在京各国大使館をはじめ官界、経済界、民間交流団体の関係者ら200名が出席、ベールィ大使から在任中の労をねぎらうあいさつがあり、ガルージン氏のアジア太平洋局長就任と後任のゲンナージ・オヴチェコ公使(経済担当参事官)が紹介された。対文協からは藤井弘専務理事、宮脇磊介常務理事らが出席した。

  ◇民間交流団体送別会開く

  これより先、民間3団体(日ロ交流協会、日本・ロシア協会、日本対外文化協会)による送別昼食会が9月2日午後1時半から虎ノ門パストラルホテルで行われ、7年間にわたり、日ロ両国の関係改善につくした労をねぎらい、今後の活躍と健康を願って乾杯した。

  ガルージン公使はあいさつの中で、南オセチアへのグルジア軍侵攻に端を発したロシア・グルジア間の問題などについて、民間文化交流団体との会合とあって、リラックスされた様子で、今回の問題に対するロシア側の対応を雄弁に語り、日本側の理解を求めた。このあと約1時間半にわたり、参会者たちと和やかに歓談、合わせて活発な意見交換を行い、3団体からの記念品を贈呈、別れを惜しみつつ会を終えた。

  なお、送別会には日本対外文化協会の渡邉隆司理事(東海大学国際戦略本部課長)、長島七穂局員のほか、日ロ交流協会から一樋宥利副会長、今川道生専務理事、日本ロシア協会から長峰義博専務理事と千葉日本ロシア協会の土屋津以子会長が出席した。


※ 第6回日ロ学術・報道関係者会議を開催 

  日本対外文化協会が主催(ロシア外務省付属・モスクワ国立国際関係大学MGIMO、ロシアジャーナリスト同盟共催、国際交流基金助成)して行われた第6回日ロ学術・報道関係者会議は9月16日(火)、昨年度からの共通テーマ「ユーラシアの発展の道を模索する」の2回目として「ユーラシアにおける協力と競争」をテーマにモスクワ国立国際関係大学において行われた。同会議には、下斗米伸夫(法政大学教授)、小田健(日本経済新聞論説委員)、藤巻裕之(東海大学講師)、石郷岡建(日本大学教授)、宮田謙一(朝日新聞論説副主幹)、宮脇磊介(世界平和研究所研究顧問)、小澤治子(新潟国際情報大学教授)、斎藤哲(日ロ懇代表幹事)、鈴木博信(桃山学院大学名誉教授)、ヴァシリューク・スヴェトラーナ(日本エネルギーケ経済研究所研究員)、山口二郎(北海道大学教授)、山内聡彦(NHK解説主幹)、朱建榮(東洋学園大学教授)の各氏、計13名が日本から参加し、佐藤親賢(共同通信モスクワ支局長)、日向寺康雄(「ロシアの声」チーフアナウンサー)、七澤淳(在ロシア日本大使館政務部参事官)、田口栄治(同広報部参事官)の各氏がオブザーバー参加し、対文協からは長島七穂が幹事として参加した。ロシア側からは学者、ジャーナリスト、大学院生ら20名余も出席した。

  会議は午前10時開会、はじめにA.ボガトゥーロフMGIMO副学長と日本側議長の下斗米教授の報告・あいさつを行ったあと、ロシア外務省外交アカデミー学長のA.パノフ元駐日大使から現在の国際関係の諸問題に関する問題提起があり、第1テーマ「ユーラシアにおける安全保障」の部で、朱建榮教授が「日中関係とロシア」と題し、また世界経済・国際関係研究所の中国・日本経済政治部長のV.ミヘーエフ氏(ロシア科学アカデミー準会員)が、「東アジアにおける露・日・中」について報告した。このテーマをめぐって石郷岡教授と、ロシア側から、V.パブリャテンコ氏(極東研究所副所長)が発言し、討論した。

  その後、世界経済・国際関係研究所軍縮・紛争解決部長A.ピカーエフ氏が「東アジアにおける核不拡散問題」について報告し、宮田氏が「日米同盟とユーラシアの安全保障」と題する報告を行った。

  午後の部「ユーラシアの国際関係と天然資源」では、ロシア科学アカデミー会員で国立経済大学校の世界エネルギー政治問題学科長のN.シモーニヤ博士が「アジアにおけるロシアのエネルギー戦略」について報告し、元ロシア連邦経済金融省次官で現「エネルギー・金融研究所」基金総裁のL.グリゴーリエフ氏も報告に加わった。日本側からは、ヴァシリューク氏が「サハリンプロジェクトを中心とした日本・ロシア・アメリカのエネルギー協力」について報告し、斎藤哲氏が報告への補足を行った。

  午後の部の第2部では日本政治の諸問題が討議され、山口教授が「再編期の日本の政党政治」に関して報告し、宮脇氏が「日本の政治状況をどう読むか」と題して福田首相の辞任の意味などについて報告した。ロシア側からは日本研究者のS.チュグロフ氏(『政治研究』誌編集長)による報告「日本政治に関するロシアの評価」がなされ、E.モロジャコーワ氏(東洋学研究所日本研究センター長)とD.ストレリツォフ氏(MGIMO東洋学科長)等が討論に加わった。

  代表団は会議の前後にロシアジャーナリスト同盟の協力を得て、政治家、評論家、社会活動家等との会見を行った。9月15日は、北オセチア共和国ロシア代表部を訪れ、同共和国のA.トトオノフ副首相等と会見し、午後は、ロシア下院内で、G.ジュガーノフ・ロシア共産党中央委員、下院外交問題委員会のK.コサチョフ委員長と会見した。

  9月17日には、ラジオ「エコー・モスコウ」の編集長A.ヴェネディクトフ氏、国家戦略研究所創始者のS.ベルコフスキー氏と会見、ロシア連邦会議を訪れ、A.トルシン上院副議長と会見した。

  18日は、ロシアのNGO「グラスノスチ(言論の自由)保護」基金のA.シーモノフ総裁と会見、午後にはロシアの人権団体「モスクワヘルシンキグループ」を訪れ、常務理事のN.タガンキナ氏をはじめ数名の職員と会見した。この日代表団は、日本大使館の上月豊久公使、柏木俊宏公使、今村朗公使に、市内のレストランでの夕食会に招かれた。

  なお、18日の12時からのMGIMOにおける山口教授の日本の政治状況に関する授業には、ロシアの日本政治学者、学生等が多数出席し、日本政治学会理事長でもある山口教授の講義に熱心に耳を傾けた。これには、下斗米教授、宮田氏も参加し、授業の後、3氏は、一足先に帰国の途についた。

  19日には、モスクワカーネギーセンター副所長のD.トレーニン氏と会見、これに続いて、同センターの民族問題専門家のA.マラシェンコ氏と会見した。その後、昼食をとる間もなく、通信社「インタファックス」のA.ゴルシコフ副社長等と会見、グルジア問題やオセチア問題について聞いた。その後、代表団の大半は、帰国のためシェレメチェボ空港へ向かった。


※ 服部敏幸顧問のお別れの会 

  対文協前副会長の服部敏幸顧問(講談社最高顧問)は8月20日死去。95歳。葬儀は近親者のみで行われたが、講談社および関係団体による「お別れの会」が9月26日正午から千代田区・帝国ホテルで行われ、1000人を越す参列者が、それぞれの思いを胸に菊花に飾られた遺影に献花、ご冥福を祈った。対文協からは松前達郎会長をはじめ、事務局の藤井弘専務理事らが参列した。

[特 集]

◇ 「ロシア五日間戦争の発端と成果」<ブラースチ誌 8月18日号>  

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ ロシア大統領、西側と対決姿勢 (コメルサント紙 8月27日)

◇ 上海協力機構からも支持を得られず (コメルサント紙 8月29日)

◇ 在位百日の双頭体制に高支持率続く (コメルサント紙 8月22日)

◇ ホドルコフスキー受刑者の釈放請願却下 (コメルサント紙 8月21・22日)

◇ ドルギー前検察庁捜査部長、収賄で逮捕 (コメルサント紙 8月21日)

◇ 「統一ロシア」がモスクワ大学に参画 (コメルサント紙 8月30日)

◇ ソルジェニーツィン、ドンスコイ墓地に (コメルサント紙 8月7日)

◇ 母親の財産が増える児童補助金 (コメルサント紙 8月7日)

◇ 支払うべきか、支払わざるべきか (論拠と事実No.34)

[資 料]

※ 「大変にもうかる戦争」
   ブラースチ誌 オレガ・アレノヴァ記