210号(2006・10・30)
[対文協だより]
※ 第4回日ロ学術・報道関係者会議開く
第4回日ロ学術・報道関係者会議(日本対外文化協会、ロシア外務省付属・国立モスクワ国際関係大学共催)は、「北東アジアの発展と安定」を総合テーマに、10月18日、国立モスクワ国際関係大学(MGIMO)で開かれ、日本からは、小田健(日本経済新聞論説委員)を団長に、下斗米伸夫(法政大学教授)、飯島孝之(毎日新聞外信部)、石郷岡建(日本大学教授)、宮崎英隆(東海大学教授)、中澤孝之(時事総研客員研究員)、中野潤三(鈴鹿国際大学教授)、小澤治子(新潟国際情報大学教授)、斎藤治子(ユーラシア研究所長)、斎藤哲(一橋大学大学院講師)、鈴木博信(桃山学院大学名誉教授)の各氏11名の他、岩下明裕(北海道大学教授)、三宅利昌(共同通信モスクワ支局長)、永綱憲悟(亜細亜大学教授)、池上雅子(ストックホルム大学東アジア研究所長)、原貴美恵(カナダ、ウォータールー大学教授)等の現地参加6名、総勢17名が参加した。
会議は、10時からA.ルキンMGIMO東アジア・上海協力機構研究センター長をロシア側議長、下斗米伸夫教授を日本側議長として開かれ、A.メリヴィリ同大副学長、下斗米教授の挨拶の後、第1部「ロ日関係の展望」、第2部「アジアにおける国際協力」にわたって討論を行った。
代表団一行は会議の他、カーネギー・モスクワセンターや投資会社への訪問、下院外交問題委員長のコサチョフ氏との会見、前駐日大使、パノフ現外交アカデミー学長を囲んで懇談などを行い、22日、5日間の日程を終えて帰国した。
※ 第68回対文協研究会開く
対文協恒例の第68回研究会が、10月16日午後6時から霞が関ビル東海大学校友会館で開かれた。講師には9月末にモスクワで開かれた世界有識者会議(第3回バルダイ会議)に招かれプーチン大統領と北方領土問題で直接対談した青山学院大学・袴田茂樹国際政治経済学部教授を招いた。同会議には日本人としてはただ一人の出席で、プーチン大統領の発言に注目が集まっていた。袴田教授は同会議でプーチン大統領が領土問題に積極的に触れ1956年の日ソ共同宣言を基礎にした解決に柔軟性を持たせたことに「プーチン大統領の心の中に北方領土問題解決は確実にインップットされている」とその場での会話を紹介した。
同教授は近年日本国内でも論議されがちな2島決着論を強く批判し、一時期外交交渉によって日本は誤ったメッセージをロシアに送ってしまったと、今後の交渉の基盤は4島の帰属を含めた「東京宣言」に置くべきであると語った。また、こうした状況を考えれば日本は当分の間、外交的に「小細工」をすべきではなく、大局的立場から対露政策を基本から立て直す必要があると熱心に語った。会場には約70名が参加し袴田教授の話に聞き入った。質疑に入っても袴田教授の主張に賛意を表する意見もあり、熱のこもった研究会となった。(講演内容・特集参照)
※ 松前達郎対文協会長(東海大総長)に名誉博士号
松前達郎対文協会長は10月21日韓国を訪問し、かねてから交流を続けてきた釜山市の韓国東義大学創立40周年記念式典に出席した。席上、同大学から松前会長に名誉博士(政治学)号が授与された。同時に東海大学と東義大学間で「交流協定」が調印され今後各分野での交流を行うことに同意した。
[特 集]
日ロの現状と展望について
袴田 茂樹・青山学院大学国際政治経済学部教授(第68回研究会講演要旨)
[ロシアの新聞・雑誌から]
◇ 最高検察庁・特捜部長が解任される (コメルサント紙 9月12日)
◇ 密輸捜査に絡み連邦保安局高官らも粛清 (コメルサント紙 9月14日)
◇ パトルシェフJr.が「ロスネフチ」に (コメルサント紙 9月13日)
◇ 民族ボルシェヴィキ党員が財務省を占拠 (コメルサント紙 9月26日)
◇ ベスラン・テロ遺族会が最高裁に上告 (コメルサント紙 9月2日)
◇ 大気汚染は規制だけでは救えない (論拠と事実No.41)
◇ ロシアの大企業家が次世代に投資 (モスコウ・ニュース 24号)
[焦 点]
※ 異様な静けさだった平壌の市街地
対文協常務理事 加藤 順一