198号(2005・10・20)

[対文協だより]

※ 第3回日ロ学術・報道関係者会議を開催

  日本対外文化協会とロシア・ジャーナリスト同盟、ロシア外務省付属・国立モスクワ国際関係大学(MGIMO)共催による第3回「日ロ学術・報道関係者会議」(国際交流基金助成)は、「北東アジアの発展と安定」を総合テーマとして9月14、15の両日、モスクワの国際関係大学において行われた。

  この会議に参加するため、9月11日から、日本側議長を務める下斗米伸夫・法政大学教授をはじめ、小田健・日本経済新聞論説委員、山田清志・対文協常務理事(東海大学国際戦略本部副本部長)のほか、学者、ジャーナリスト等、総勢16名がモスクワを訪問した。

  会議に先立ち、ロシアジャーナリスト同盟の協力により視察プログラムが組まれ、12日は自動車メーカー「ルノー」モスクワ工場の見学、ロシア連邦統計局人口問題部長I.A.ズバルスカヤ女史との会見、13日は、国家戦略研究所のS.A.ベルコフスキー所長、「政治」基金総裁のV.A.ニコノフ総裁、ロシア国防省機関紙『赤い星』のN.N.エフィーモフ編集長等と会見した。

  会議第1日目の14日は、下斗米伸夫・日本側議長とA.ルキン・ロシア側議長(MGIMO東アジア・上海条約機構研究センター長)の開会の挨拶の後、会議第1部「北東アジアの発展と安定のための日中ロ協力」においては、急に参加できなくなった小島朋之・慶応大学総合政策学部長の基調報告「胡錦涛政権の国家戦略:中国の内政と外交」を下斗米議長が代読し、ついで趙宏偉・法政大学教授が「胡錦涛の外交政策」、小牧輝夫・国士舘大学教授が「6カ国協議の再開と今後の行方」との報告を行い、菱木一美・広島修道大学教授等が発言した。ロシア側からはルキン・MGIMO助教授、S.G.ルジャーニン・MGIMO東洋学講座教授、V.I.デニーソフ・MGIMO教授に加え、訪ロ中の中国人教授(長春大学)等が議論に加わった。午後の第2部「日ロの北東アジア、シベリア・極東開発のための経済協力」では、斎藤哲氏(日経新聞社社友)が「北東アジア開発のための経済協力」、望月喜市・北大名誉教授が「中国のエネルギー政策と日本の対応」と題した報告を行い、ロシア側からはA.F.モチューリスキー氏(ロシア外務省上級顧問)等が発言した。第3部「プーチン大統領訪日を前にした日ロ関係の現状と展望」では、下斗米教授が基調報告を行い、永綱憲悟・亜細亜大学教授、小田健・日本経済新聞説委員がそれぞれ発言し、ロシア側からはG.F.クナッゼ・国際関係国際経済研究所主任研究員、S.V.チュグロフ・MGIMO国際ジャーナリズム学科長、I.A.ラズモフスキー「トリブーナ」紙外報部記者等が発言した。

  2日目の15日は午前中、MGIMOの大講義室で学生を対象とする講演会を行い、藤本和貴夫・大阪経済法科大学学長が「1925年日ソ基本条約の締結と世論」、飯島一孝・毎日新聞紙面審査委員長が「衆院選挙後の日本の行方」について講演を行った。午後は、視察団は2班に別れ、カーネギーモスクワセンター主任研究員のL.F.シェフツォーワ女史、G.V.ボース・ロシア下院副議長とそれぞれ会見を行った。

  なお15日から予定されていたアルメニア視察代表団のエレバン行きは、飛行便の取消など不測の事態で中止され、モスクワに滞在後、16日~18日にかけて帰国した。

[訃報]

※ 「日ロオーラルヒストリーの会」の木村晃三委員死去

  対文協の研究ループ「日ロオーラルヒストリーの会」の有力メンバーとして活躍された木村晃三氏は、半年に及ぶ闘病生活を送っていたが、9月29日71歳で逝去された。木村氏は、読売新聞編集委員を経た後、今年3月に定年退職されるまで中央大学総合政策学部教授を務めた。

[特 集]

 第3回日ロ学術・報道関係会議報告 
   中澤孝之・日本対外文化協会理事・時事総研客員研究員

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ 新産業企業家同盟会長にショーヒン氏 (コメルサント紙 10月1日)

◇ 北オセチア共和国に民間自衛軍創設 (コメルサント紙 9月13日)

◇ 大統領府、青少年組織対策の秘密部局創設 (モスコウ・ニュース 32号)

◇ お茶の間放送として15年 (論拠と事実 No.38)

◇ 所有権を得られない学者の発明 (論拠と事実 No.38)

[資料]

◇ クレムリン、イングーシの土地回復拒否か
    コメルサント紙 9月23日

[焦 点]

※ 平和条約締結に急ぐ理由は?
    対文協常務理事  加藤 順一