186号(2004・11・20)

[対文協だより]

※ 第5回日露国際シンポジウム開く

  毎日新聞社と日本対外文化協会と共催による「第5回日露国際シンポジウム」が、ロシアから専門家2人を招いて11月4日午後1時から、千代田区内幸町の日本プレスセンターで開催した。同シンポジウムは2000年に北海道・札幌市で開かれた第1回の「日露新時代」、」第2回の「ソ連崩壊10周年」、第3回の「中国と日露関係の行方」、第4回の「ロシアから見た北朝鮮情勢」に続く企画で、会場には会員や一般参加者をはじめメディア関係者など約200人が出席した。開会に当たって主催者を代表して対文協の石原萠記副会長と毎日新聞の橋本達明専務取締役主筆がそれぞれあいさつ、石郷岡建氏(毎日新聞専門編集委員)のコーディネーターにより討議に入った。

  5回目を迎えた今回のテーマは「日露の経済は動くか! プーチン大統領訪日を控えて」で、最近にわかに脚光を浴びてきた経済問題に討論をしぼった。会議は1部、2部に分かれ、最初にパネラーの前カシヤノフ首相経済顧問で経済学博士のミハイル・G・デリャーギン(グローバリゼーション問題研究所理事長)とジャーナリストのイーゴリ・A・ラズモフスキー(日刊紙「トリブーナ」国際部記者)両氏がそれぞれ20分間の基調報告を行った後、日ロ間の経済交流の現状と日本からの投資に対する期待と展望について、休憩をはさみ3時間半にわたって討論が行われた。

  とくにデリャーギン氏は、現在関心が高まっている日ロ間のエネルギー問題について、石油パイプラインなど大型事業にとどまらない幅広い協力の必要性を強調し、「常設の協議機関を設けるべきだ」と提言、このパイプラインは経済問題であると同時に、日露の政治的連携に大きな役割をはたすであろうと、その意味を分析し会場の関心を呼んだ。またラズモフスキー氏はあえて北方領土問題に触れ4島の日本の主権を認めることは現状ではきわめて困難であるとし、2島先行返還論に近い解決方法が両国にとって合理的な国際関係を保つためにも必要であるとした。全般的には、日本のロシアに対する経済投資を積極的にすることが、平和条約問題を含めた包括的な解決につながるであろうとの総括になった。ただ、この討論の中で両氏とも中国の大国化がさまざまな点でロシアにとって脅威となりつつあるとの見方を示し、北東アジアでの中国の有り様に日本がどのように対応してゆくかを考えさせた。なお同討論の詳細については近く「ニュースレター・記録版」として発刊する予定。


※ 日ロ交流音楽セミナー開催

  モスクワ国立音楽院と常葉学園短期大学による「日ロ交流音楽セミナー」(日本対外文化協会後援)は12回を数え、来春(2005年)2月9日から11日間、静岡市の同学園短期大学で開催される。

  今回来日するロシアの講師陣はモスクワ国立音楽院のエレーナ・クズネツォーワ教授とアレクセイ・ナセトキン教授で、このほかモスクワ音楽院出身で、世界で活躍している著名なベトナム人のピアニストのダン・タイ・ソン氏が特別公開レッスンを行う予定。

  [ 詳細問い合わせ先]常葉学園短期大学「日ロ交流音楽セミナー委員会」
  (〒420-0911 静岡市瀬名2-2-1)
  TEL/FAX 054-261-1455

[特 集]

 ロシアと中国が国境画定交渉で最終合意
    ブラースチ誌 11月1日号

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ 特別科目『安全生活の基礎』 (論拠と事実 No.41)

◇ 銃とウオツカ (論拠と事実 No.42)

◇ 伝統的な詐欺の手口 (論拠と事実 No.44)

[焦 点]

※ 現実化した日米安保の変質
    対文協常務理事  加藤 順一