161号(2002・10・15)

[対文協だより]

* 対文協創立35年記念「日・中・露 国際シンポジウム」開く

  日本対外文化協会創立35周年を記念した対文協・毎日新聞社共催の日・中・露 国際シンポジウム「中国と日露関係の行方」が9月26日、東京千代田区のプレスセンタービル・大ホールで開かれた。毎日新聞社との国際シンポジウムは3回目で、今回は中国から中国社会科学院対外関係研究室主任・金熙徳氏、ロシアから科学アカデミー米国カナダ研究所副所長アレクセイ・A・ボガトゥーロフ氏、ロシア改革理論センター所長アレクセイ・D・カラムルザ氏、日本からは東京大学東洋文化研究所の猪口孝教授の4名がパネラーとして参加した。

  午後2時に開会、石原萠記・対文協副会長(自由社社長)と北村正任・毎日新聞常務取締役主筆が開会のあいさつをした。会場は220名が出席して満席、石郷岡建・毎日新聞外信部編集委員がコーディネーターとなり討論に入った。基調報告で金氏は「現在中国は高度成長の軌道に乗り、今後世界の政治と安全保障のシステムにどのように参与してゆくかが大きな課題だ」と中国のアジアでの役割を分析した。ロシアのボガトゥーロフ氏は「昨年1年間、われわれが学んだことは米国が中央アジアの国に仲間入りしたことだ」とアジアの安全保障環境の変化を討論の課題に乗せた。またカラムルザ氏は「日ロ関係が危機的状況になり、ロシアの外交優先順位は中国に移りつつある」と日ロ関係に憂慮を示した、猪口教授は「アジアで巨大化した中国がどう作用するのか。そこに日ロがどう絡むのか興味ある時だ」とのべた。

  基調報告のあと軍拡化のある中国問題、地域対話、共存の方向など多彩な角度で討論が行われた。焦点の日朝関係についてもその重要性が指摘されるなどシンポジウムは3時間にわたって活発に行われた。なお、シンポジウムの要約は10月1日付の毎日新聞に特集された。

[特 集]

◇  「特集」として掲載した以下の論文は、9月26日に対文協と毎日新聞社の共催で開かれた「日・中・露 国際シンポジウム」に際してロシアのアレクセイ・ボガトゥーロフ米国カナダ研究所副所長によって準備されたものである。この論文は、現在の日ロ関係について極めて悲観的な分析をしている。確かに外交関係は停滞し同氏の指摘する厳しい現実はあるが、来春1月の小泉訪ロなど改善の芽も否定できない。ここでは、ロシアの研究者が見た現実の厳しさを知るためあえてその要旨を掲載する。

新地政学の基でのオールド・ヒストリー
    (アレクセイ・ボガトゥーロフ)
    ◎ 精神構造と政治
    ◎ プーチンの対日政策

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ペテルブルク警察、極右の存在認める (イズベスチヤ 9月18日)

◇モスクワで居住制限制度が復活 (イズベスチヤ 9月19日)

◇エリートは育てるもの (イズベスチヤ 10月1日)
   ◎ モスクワ大学高等ビジネススクールについて
   ◎ モスクワ大学高等ビジネススクール成立の経緯
   ◎ ロシアのビジネス教育のリーダーの地位はどのように築かれたのか

◇氷河崩壊 時速150キロで移動 (論拠と事実  No.39)

◇モスクワつ子は老後の貯蓄はしない (論拠と事実  No.38)

◇クラスノヤルスク知事にフロポーニン氏 (コメルサント 10月5日)

◇ロシア議会、国民投票規制法案を可決 (コメルサント 9月21日)

◇カスピ海の海底分割協定調印 (コメルサント 9月25日)

[資 料]

◇  カツレツとパン粉
◇  8つの州として
◇  プーチン対ルカシェンコ
  (この項、ブラースチ誌 8月27日号)

[焦 点]

◇  活発だった北朝鮮の対日工作
    (対文協常務理事  加藤 順一)