160号(2002・9・10)

[対文協だより]

* 極東ロシアの美術展好評のうちに閉幕

  今春4月、町田市立国際版画美術館を皮切りに宇都宮美術館および北海道立函館美術館で開催したロシア・アヴァンギャルドと出会った日本-「極東ロシアのモダニズム1918-1923」展(日本対外文化協会・東京新聞・同展開催実行委員会主催)は9月1日巡回全日程を終え閉幕した。

  同展は1920年代からはじまった日本とロシアの美術による国際交流を検証したもので、日本の美術史の1ページを画す歴史的、資料的にも重要な内容をもち、地味ではあるが美術展としては画期的な展覧会となり、専門家の間からはもっと多くの都市で開催したらとの声が寄せられた。

  また同展開催中、7月5日には日本の専門家のほか、ロシアや欧米の第一線の研究者が参加して極東ロシア美術国際シンポジウム「極東ロシアから日本へ、世界-1920年代美術の国際交流」(協力・国際交流基金/助成・ポーラ美術振興財団)が筑波大学国際会議室で開かれ、同美術展に華を添えた。 


* ロシア美術館学芸員来日

  「極東ロシアのモダニズム展」閉幕にともなう、撤去作業のため、チタ州立郷土誌博物館のヴィクトル・コロソフ館長をはじめ極東美術館のスヴェトラーナ・ジューク主任学芸員、沿海地方絵画美術館のスブェトラーナ・プレシフツェワ主任修復家、ハバロフスク地方郷土史博物館のナタリア・グレベニューコワ上級学芸員ら関係者4名が9月1日来日、北海道立函館美術館での撤去作業に立ち合った後、約1週間滞在、日本関係者との実務交流を終え9日帰国した。

[美術展図録特別頒布]

◇ 「オリガルヒ-ロシアを牛耳る163人」 中澤孝之著(東洋書店刊・本体1800円)

  町田、宇都宮、函館で開催されたロシア美術展「極東ロシアのモダニズム1918-1928」(同展開催実行委員会編集)の図録を希望者に特別頒布いたします。図録はヨーロッパに先駆けて行われた日本とロシアの美術交流を検証したもので、専門家はもとより美術愛好者にとって資料的価値ある一冊。A4変形、カラー図版307点、全254ページ。頒布2500円。希望の向きは日本対外文化協会へ。

[特 集]

◇  緊張高まるロシア・グルジア関係
  ◎ パンキシ峡谷のチェチェン武装勢力
  ◎ 非難応酬と神経戦の背景
     •ロシアの切り札
     •負けゲーム
     •グルジアの切り札
     •切り札交換

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇民主主義の勝利を祝う人影も少なく (コメルサント 8月21日)

◇米国「ベラルーシはならずもの国家」と非難 (コメルサント 8月14日)

◇海賊版CD、ビデオが市場の90%占める (論拠と事実 34号)

◇泥炭の火事は焼き尽くされて消える (論拠と事実 32号)

◇来年からモスクワの地下鉄に新料金 (イズベスチア 8月14日)

◇わが国の歴史は1つ・歴史教科書も (イズベスチヤ 8月2日)

◇ロシアには中産階級がいる (イズベスチヤ 8月17日)
  ◎ ロシアの政治地図から姿を消したロシアのミドルクラス
  ◎ 社会調査のデータから描きだした典型的な中産階級

[焦 点]

◇  ドイツで考えた日本の「戦争責任」
   (対文協常務理事  加藤 順一)