159号(2002・8・10)

[対文協だより]

*ロシア美術展、北海道展開催

  町田と宇都宮での巡回展を終えたロシア絵画美術展、ロシア・アヴァンギャルトと出会った日本「極東ロシアのモダニズム1918-1928」展(東京新聞・日本対外文化協会ほか主催)の北海道展が7月16日、函館市五稜郭の北海道立函館美術館で開幕した。開催に先立ち15日午前9時半から同美術館1階のエントランスホールで開会式と内覧会が行われ、主催者を代表して青野昌勝同館長があいさつのあと、ロシア側代表のハバロフスク地方郷土誌博物館のニコライ・ルーバン館長を中心にして青野館長、藤井弘・対文協専務理事のほか鎌形敏雄・北海道新聞函館支社長、長島素彦・NHK函館放送局長、金山生智・函館市教育長、倉崎六利・函館日ロ親善協会会長らによってテープカットが行われ招待者による内覧が行われた。同展は9月1日まで開催される。


*対文協第43回研究会開く

  対文協恒例の夏期研修を兼ねた第43回の研究会が、7月31日午後6時から霞が関ビル・東海大学校友会館で、モスクワ大学経済学部のオレグ・ヴィハンスキー教授(同大学ビジネススクール校長)を講師に迎えて開かれた。

  研究会は「ロシア経済の現状」について約1時間にわたって講演、オリガルヒ(寡占資本)中心の経済からマグナート(大型企業グループ)へ移行したロシア経済について最新の各種データを示しながら、興味あるその現状を披露した。会場は今夏最高気温と伝えられる厳暑にもかかわらず、会員をはじめ外務省のOBやマスコミ関係者など55名が参加熱心にメモをとる姿が見られ、質疑と共に熱のこもった研究会となった。


  *MGUビジネススクール夏期研修生来日

  モスクワ国立大学経済学部・高等ビジネススクールの夏期研修生グループが、7月24日、対文協の招へいで来日した。一行はオレグ・ヴィハンスキー校長を団長にMBA(経営学修士)課程で学ぶ若いビジネスマンたち17名で、25日築地の電通本社を訪問、森隆一常務や浜口博行事業局次長、元モスクワ駐在の小森哲朗プランイング・プロデュース局主管(対文協理事)らと懇談、企業を通じて日本経済に寄与する電通の果たす役目やスポーツなど各種イベントのプロデュースなどについて説明を聞き、活発な質疑を行うなど有意義な研修1日目を終えた。この後研修生は伊藤忠本社をはじめソニーショールームや日産横浜工場などを訪問視察したほか京都や東京ディズニーシーを訪れ、新旧の日本の姿にふれ、10日間にわたる研修旅行を終え8月2日帰国した。


*01年度研修生、シルティポワさん帰国

  昨年11月来日、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の中見達夫教授のもとで9ヵ月間、「日本およびロシアの研究機関に所属されるチベット仏教文献の比較研究」について精力的に共同研究を行ってきた01年度の対外基金研修生のスルン-ハンダ・シルティポワさん(ウランウデ市=ロシア科学アカデミー・シベリア支部モンゴル学・仏教学・チベット学研究所)の修了証書授与式が7月31日、霞が関ビル・東海大学校友会館で行われ、松前達郎会長から修了証書と記念品が贈られた。

  シルティポワさんは修了証書を手に感謝の言葉を述べ、研修成果をまとめた報告書を松前会長に提出した。式には中見教授のほか夏休みで来日した子息のバトル君も同席した。シルティポワさんは8月3日に離日、途中8月5日からウランバートルで開かれる5年に1度のモンゴル学会に出席、同13日帰国する。

《新刊紹介》

◇「オリガルヒ-ロシアを牛耳る163人」 中澤孝之著(東洋書店刊・本体1800円)

  ソ連解体後のエリツィン前大統領時代、ロシアの社会的混乱に乗じて財をなし、政治権力と結んで、政治・経済・マスメディアに絶大な影響力を持つに至った一握りの成金(政商)がオリガルヒ。本書はわが国で初めて彼らの全容を浮き彫りにした、オリガルヒ名鑑。とくに巻末人名索引も便利で、個々の人物を通じて、政・官との癒着の実態に迫る。プーチン政権下で様変わりした彼らの現状、新興オリガルヒの横顔も紹介している。


ロシア語版「日本ガイド・ЯПОНИЯ」第3版(㈱プロムテック刊・本体800円)

  1995年に初版を発行、第2版を全面的に見直し、地図や写真を多く取り入れ、よりカラフルな改訂第3版(45判68ページ)。ロシアからのお客様へのプレゼントに便利なポケット本。
[内容]●京都カラーマップ●ディズニー・イラストマップ●幹線鉄道・各市地下鉄路線図●日本についての諸情報(言語・通貨・ホテル・祝祭日・気候など)●ミニ会話他。

※本書についての注文・問い合わせは=㈱プロムテック℡(03)3392-6567

[特 集]

◇  第43回対文協研究会要旨
    「ロシア経済の現状について」
    オレグ・ヴィハンスキー・モスクワ大学教授
   •経済構造が先進国型に
   •急がれる機械設備の更新
   •大型投資する以外ない
   •オリガルヒとマグナート
   •WTO加盟で活発な論議

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇「リベラルなロシア」党、最高裁に提訴 (コメルサント 7月30日)

◇いんちきピロシキ (論拠と事実 28号)

◇虚弱になった徴兵たち (イズベスチヤ 7月12日)

◇盗難防止の警報装置も禁止の方向 (イズベスチヤ 7月13日)

[資 料]

◇  兵忌避者の兵役代替勤務
◇  2004年から発効
◇  議会承認までの経過
◇  今年の徴兵補充は16万人

[焦 点]

◇  「国家」としての主体性を明確に
   (対文協常務理事  加藤 順一)