152号(2002・1・15)

新年明けましてお目出とうございます

[対文協だより]

日本対外文化協会 会長 松前 達郎
(東海大学総長)


*新年を迎えて ・・・・・・ 新しい時代の意識転換を

  新年明けましておめでとうございます。日本対外文化協会の活動については、平素から皆様のご理解をいただき、心より感謝をいたしております。当協会は本年は創立35周年を迎えました。一年づつ小刻みの活動ではありましたが、今ここに永い「伝統」ともいえる時期に至って改めて創立時の志を思い起こして一層の努力をと考えております。対文協は、現在幅広い立場で国際交流の核となろうとしております。しかし、世界はいま大きな転換期にあります。21世紀の最初の1年はまさに激動のなかで過ぎました。平和を願う多くの人々の思いとは違い、国際テロの嵐はボーダレスの国家観を逆に回転させかねない事態を作りだしてしまいました。その根源にある貧困、差別、民族対立などはこのままではさらに根深いものとなってしまいかねません。

  私達の望む世界は、暴力を一切否定し、互いに平等であり、人々は心の豊かさ持ち、しかも民族や国境を越えた恒久平和を強い意思で実現することです。こうした願いに反して国際情勢は、それぞれの国、民族に強い孤立主義、原理主義を生み、それを拡大してしまうマイナスの方向に進む危機をはらんでいます。こうした時期であればこそ、それぞれの国、民族は互いに固有の文化を再確認して、それを尊重する「交流」を行わなければなりません。

  対文協は35年の長きにわたって「文化交流」をその基礎に置いて活動してまいりました。しかし、この運動は果たしてマンネリズムに陥っていないか。新しい時代の変化をしっかりと受けとめているのか。こうした反省をしなければなりません。受け身の姿勢を脱し、「交流」の中で新しい時代の「国際文化」を世界に向けて発信させる時期にきたと思っております。そのためには、まず「何を交流するのか」という初心に返って、発想の転換をしなければなりません。わが国は政治的にも、経済的にもけっして成熟した社会であるとは言えないのではないでしょうか。ましてや、「文化」とは何かという基本的な問い掛けに明確な答えを出すことは大変難しい時代であります。

  今年1年、この基本的な宿題に積極的に取り組みたいと念じております。果たして答えが出るのか。そう簡単な問題ではありませんが、創立の精神を思えば志を高く掲げて発想を転換させる努力を続けなければなりません。

  どうぞ、こうした対文協の目標をご理解いただき、皆様の限りないご支援と、ご叱声をお願いいたします。


*第40回研究会開く

  40回目を迎えた対文協研究会「見えない敵-国際テロとどう戦うか」は、新世紀1年目のしめくくりとして12月20日午後6時から千代田区・霞が関ビルの東海大学校友会館で行った。講師はサイバーテロ問題の権威でもある元内閣広報官で対文協理事の宮脇磊介氏で、9月11日直後のニューヨーク、ワシントンやロンドンを訪れ、テロの実態を見てきた生々しい報告をもとに約1時間半、「国際テロの現状」を検証するとともに、見えない敵に対する危機管理の不足を訴えた。


*片山醇之助展、ペテルスブルクで開催

  00'年9月バルト三国ラトビアの首都リガでの開催を皮切りに、ロシア各地を巡回し好評を博している「片山醇之助」(対文協・ペテルスブルク大学共催、在ロシア日本大使館後援)が01年12月27日からサンクトペテルブルク大学付属図書館で開幕した。開会セレモニーにはヴェルビツカヤ同大学総長をはじめフェドートフ同大学国際関係担当副総長エレメーエフ・ロシア語文化センター所長ら関係者、日本側からは在ペテルスブルク総領事館の高橋洋江・文化担当副領事のほか日本人留学研修生ら多数が出席、シェーシナ図書館長が松前会長の同展に寄せる祝いのメッセージが披露され、関係者によるテープカットで開幕した。同展は2月末まで開催される。


*ロシア研修生のOB来訪

  12月10日来日中のロシア研修生OB、S・ミヘーンコ(ENOFIT=ロシア物理コンピューター・データ科学技術協会副会長/93年度)、A・アレクセーエフ(ロシア国立高エネルギー物理学研究所計測研究室長/95年度)の両氏が来訪、旧交を温めた。

  同氏らは核燃料処理に関する日露専門家協議に出席のため来日したもので、それぞれに有意義な研修生活をおくることができたことに対して、改めて感謝の意を述べ、加藤順一事務局長、藤井弘専務理事ら事務局スタッフと約1時間歓談した。

[特 集]

◇小企業の育成は国家的な緊急課題
 ◎  国内総生産の30%が目標に
 ◎  小規模企業の現状
 ◎  「かなりな責任を地方へ」
  (コメルサント紙 12月18・21日)

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇影響力を増したロシア産業企業家同盟 (イズベスチヤ 12月21日)

◇ユダヤ人会議に新会長選出 (コメルサント紙 12月8日)

◇ゴルバチョフ社民党党首、新党を語る (オプシチャ・ガゼアタ 48号)

◇サハのニコラエフ大統領出馬断念 (ブラースチ誌 50号)

◇キルギスでロシア語も公用語に (コメルサント紙 12月25日)

◇灰色オオカミの来襲 (論拠と事実 49号)

◇刊行物から見たロシア科学の現状 (イズベスチヤ紙 12月7日)

◇個人崇拝はロシアの文化か (論拠と事実 49号)

◇ソ連邦消滅10年・減少する郷愁 (イズベスチヤ紙 12月25日)

[焦 点]

◇求められる「外交戦略」
  (対文協常務理事 加藤順一)

[資料]

◇大統領が選んだ新上院議長
 ◎  空挺隊員、ロマンチスト、実業家
 ◎  市議会議員として
 ◎  忠実なプーチン支持者