151号(2001・12・10)
[対文協だより]
*第39回研究会「2年目のプーチン政権」開く
対文協は9月23日から30日まで、日ロジャーナリスト会議参加を兼ねた国際問題専門家によるロシア視察団をモスクワ、ウクライナのキエフに派遣したが、その報告と討論を兼ねた研究会が、11月15日午後6時半から東京・霞が関ビルの東海大学校友会館で開かれた。視察団を代表して平野裕(元毎日新聞主筆・評論家)、小田健(日本経済新聞論説委員)、中澤孝之(元時事通信外信部長・長岡大学教授)の3氏がパネラーとして出席した。
はじめに中澤氏が「ソ連解体10年」をテーマに「なぜあの時点に、どのようなプロセスでソ連が解体されたのかはほとんど問われていない。91年12月7、8日の『ベロヴェーシの森の陰謀』の公式記録はない。会談列席者たちはなぜ沈黙しているのか」と、ソ連解体の謎について、今回の視察で会見したクラフチュク元ウクライナ大統領からの取材報告が参加者の興味を引いた。
また小田氏はウズベキスタンなど中央アジア諸国の対米姿勢をふまえながら、米国のテロ事件に対するロシアの対応、米ロ関係の今後について示唆に富んだ報告を行った。
さらに平野氏は「プーチン改革の裏側には自由や、人権の抑圧も見逃せない。9月11日の同時多発テロはプーチンにとって追い風となり、ロシアはさらに保守化するだろう」と分析注目された。
報告の後、3名のパネラーがそれぞれ問題点を討論し、フロアとの質疑も行われるなど約40名の参加者は、現代ロシアの有り様に興味深く聞き入り、2時間にわたる研究会を終えた。
*01年度招へい研修生来日
対文協・対外研修基金による01年度招へい研修生に決まった、スレン=ハンダ・ダシマエヴナ・シルティポワ博士(38歳・ロシア科学アカデミー・シベリア支部、モンゴル学・仏教学・チベット学研究所研究員)は11月10日来日した。
シルティポワさんは向こう10ヵ月間、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の中見研究室で中見立夫教授を中心に、「日本およびロシアの研究機関に所蔵のチベット仏教文献の比較研究」の共同研究を行う。
*ロシア公使さよならレセプション
96年10月着任以来、5年2ヵ月にわたる任期を終え、近く帰国する在日ロシア連邦大使館のワシリー・ドブロボリスキー公使のさよならパーティーが12月10日夕6時半から大使館2階大ホールで行われた。都合3回通算15年にわたり日本勤務を終えた公使だけに官民各界から知人、友人ら約300人が出席、公使夫妻を囲んで歓談、別れを惜しんだ。対文協からは松前達郎会長、藤井弘専務理事、加藤事務局長ら多数の役員も列席、在任中の協力に対し謝意を表した。同公使は帰国後は外務省のアジア関係の重要ポストへの就任が予定されている。なお席上、後任のミハイル・ガルージン公使がパノフ大使から参加者に紹介された。
なお、さよならパーティーに先立ち、6日午後2時から南青山の健保会館で日ロ交流協会、日ロ協会、日本対外文化協会の友好3団体による「お別れ昼食会」がドブロボリスキー公使夫妻を迎えて行われ、大使館からガムザ文化・友好担当1等書記官が出席した。
*モンゴル大使着任
駐日モンゴル国のフレルバートル大使の離任に伴う、後任のZ・バドジャルガル新大使は11月6日来日着任、21日信任状奉呈をすませ、初仕事として大相撲九州場所千秋楽のモンゴル国友好杯の表彰式に臨んだ。
*訃 内山常務理事死去
対文協常務理事の内山種二氏(アポロ企画代表・日本書道教育会議事務局長)は11月12日午前11時32分、出張先からの帰途、急性心筋こうそくのため豊橋市の病院で死去しました。同氏は毎日新聞社在職中、対文協主催の「大シベリア博」の事務局次長としてその運営に従事、その後対文協の理事を経て90年に常務理事に就任、文化事業の推進に貢献されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
[特 集]
石油価格の急落を乗り切れるか (コムソモリスカヤ・プラウダ 11月23日)
◇石油暴落はどんな影響を及ぼすか
◎ プーチン政権の政策に変化も
◎ 閣僚の更迭も起こるか
政変で激動するグルジア (モスコーフスキエ・ノーボスチ 45、46号)
◎ 激震の発端
◎ 政情は騒然
◎ 不倶戴天の友と
◎ 女性議長の誕生
[ロシアの新聞・雑誌から]
◇ ラトビアのカーネーションテロの背景 (モスコーニュース 46号)
◎ チグハグな反応
◎ 逆効果
◇ ラトビアのロシア系住民の問題について (モスコーニュース 46号)
◇ ロシア正教は市民の宗教 (コメルサント・ブラスチ 45号)
[資料]
◇ プーチン政権の人脈研究・ペテルブルク派33人のリスト (コメルサント・ブラスチ 47号)
◎ チ同窓生チーム
◎ 諜報・防諜チーム
◎ 市政チーム
◎ その他のペテルブルク派
[あとがき]
◇「文化交流」のありよう(K)