128号(2000・1・15)

新年あけましておめでとうございます。

 2000年はロシアのエリツィン大統領の衝撃的な辞任で幕をあけました。年末に行なわれたロシア国家院選挙で「統一」の予想外の勝利という結果が、辞任を早めたことと推測されますが、今後の日ロ関係を予測しますと、さまざまなバリエーションが考えられます。日本対外文化協会は、これからも、日ロ関係に細心の注意を払いながら種々の活動を続けていきます。「JCAニュースレター」も出来うる限り最新の情報を皆様にお届けするとともに、対文協が目指す「恒久平和」の確立への志を高く掲げて、ご期待に沿いたいと決意しております。今年もご愛読をお願いいたします。

[対文協だより]

*ジャーナリスト・専門家代表視察団
7回目を迎えた対文協主催の「ジャーナリスト・専門家視察団」は99年12月4日に成田を出発、ロシア、ベラルーシ両国を視察、モスクワでは「日ロジャーナリスト会議」に参加し、9日間にわたる日程を終え同12日帰国した。

代表団は植田樹・NHK解説委員を団長に、下斗米伸夫(朝日新聞客員論説委員)、三瓶良一(毎日新聞論説委員)、新井康三郎(元立命舘大学教授)、斎藤哲(元日経論説委員)、高橋実(元共同通信論説副委員長)、伊藤孝之(早稲田大学教授)の7氏に対文協から長島七穂事務局員だ同行した。

一行は往路モスクワで一泊後、5、6、両日、ロシアとの連邦条約の行方が注視されていたベラルーシ共和国の首都ミンスクを訪問、滞在2日目の6日午前10時30分から大統領府でルカシェンコ大統領と会見、ロシアとの連邦条約を中心とする同国の外交政策などについての質問に対して、同大統領はNATOの拡大に関し、新加盟国への核兵器配備の疑いに懸念を表明したしたほか、中央地域での非核地帯設置の提案に対して日本の支持を期待すると語った。

5日はまず第2次大戦の主戦場となったベラルーシの歴史を知る上で重要な「大祖国戦争史博物館」を見学の後、ベラルーシ・ジャーナリスト同盟でエーケリ同盟議長のほか政府系雑誌「ベラルーシ」のシャバーリン編集長、野党系週間紙「自由ベラルーシ」のウリチョーク編集長と会い、同国のジャーナリストの現状と問題点についての説明を交えた意見を交換した。この後、午後4時から共和国ナンバー2のミャスニコーヴィチ大統領府長官と会見、経済問題を中心にインタビューを行なった。夕食後ミンスクから約80キロの郊外にあるチェルノブイリ原発被災児童のリハビリ施設「ナジェージュダ(希望)」を訪問、マクシンスキー所長ら幹部の案内で視察、概要説明の席上、同所長から日本の「チェルノブイリ子供基金」などの支援についての謝意が述べられた。

6日は大統領との会見に先立ち午前9時からチェルギネツ上院外交政策委員長と、午後はシーモフ経済相と会見それぞれ所管の問題についての意見を聞いた。

ベラルーシ訪問を終えた視察団は下院選直前のロシア情勢視察のため6日夜モスクワ入りした。選挙選の最中で、各会派の代表者たちは、ほとんどが地方遊説中であったが、10日にはロシア・ジャーナリスト会館で行なわれた「祖国・全ロシア」のプリマコフ元首相の出版記念会での記者会見の後、別室でプリマコフ氏との会見の機会を得た。

このほか滞在中、9日には人権活動家として知られるコワリョフ下院議員と会見、チェチェン戦争における人権問題や下院選における各党の見通しなどについて意見を聞いたほか、「祖国・全ロシア」本部でヤストロジェムスキー広報担当(元大統領報道官)、「右派連合」ではカラムルザ代表(モスクワ大学政治学教授)、「スターリン・ブロック」、政治学者で評論家のシェフツォーワ女史(カーネギー国際モスクワセンター主任研究員)らとそれぞれ会見した。

7日はジャーナリスト同盟でボグダーノフ議長、ユネスコ常任代表で著作権・知的財産権委員長のフェドートフ博士と会談、ロシア政治におけるマスコミの役割、民主的選挙を保障するためにマスコミは何ができるかについて意見を交換したほか、「プラウダ」のイリイン編集長、トレチャコフ国際部長をはじめ、「ノーヴィエ・イズベスチヤ」のゴレンビオスキー編集長、アガフォーノフ副編集長、「インタファクス」のヴォスコボイニコフ幹部役員、国防省機関誌「赤い星」のドクチャーエフ副編集長、モスクワ放送「モスクワのこだま」のヴェネディクトフ編集局長らとそれぞれ個別に会見した。

このほか在モスクワのチェチェン長老会議議長で国立金融アカデミーのヴァツァナエフ教授、「政治基金」のニコノフ代表らと会見するなど多角的な視察、取材が実現し大きな成果をあげて同12日帰国した。


*対文協第25回研究会開く

年末恒例となったモスクワ大学経済学部のオレーグ・ヴィハンスキー教授を迎えての対文協研究会(第25回)は、12月22日午後7時から、渋谷区「アミーホール」で、定員を越す60名が参加して開催された。テーマは「下院選挙後ロシアはどこに行くのか」で、19日行なわれた下院選挙の最新のデータをもとに、議会構成を中心に今後の政治情勢を占ってもらった。(特集参照)

[お知らせ]

先に「JCAニュース」でも紹介しました、「帝国解体-駐モスクワ大使の回想1990-1994」(枝村純郎著)は発売以来好評を博し、このほど3刷が発行されました。 本書は枝村元駐ロ大使の回想録で、ロシアの変遷を知る上でも、また文学的にも格別に興味を引く読み物です。対文協会員ならびにJCAニュース読者に特価2000円(定価2300円)にて頒布します。お申し込みは下記へ(送料込み、代金後払い)

都市出版社〈担当佐藤・八百(やお)〉
電話:03-3222-7541
FAX:03-3237-7348

[特 集]

「下院選挙後、ロシアはどこへ行くのか」
      モスクワ大学経済学部教授  オレグ・ヴィハンスキー

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇99年12月の下院選から (コムソモリスカヤ・プラウダ 12月21・22日)
  •鈆〈メドベージ〉(熊)がやってきた-
  •鈆当選者の主な顔ぶれ
  •鈆主な落選者

[資料]

ロシア下院選挙最終結果 (中央選管発表)

比例区 小選挙区(立候補者) 合  計
共 産 党 67 46(140) 113
統   一 64 8(42) 72
祖国・全ロシア 37 31(118) 68
右派勢力連合 24 5(109) 29
ジリノフスキー連合 17 0(0) 17
ヤ ブ ロ コ 16 4(135) 20
わが家ロシア - 7(  ) 7
諸     派 - 13(  ) 13
無  所  属 - 102(  ) 102