202号(2006・2・20)

[対文協だより]

※ 創立40周年記念・新春賀詞交歓会開く

  対文協恒例の06年新春賀詞交歓会は、創立40周年の祝いを兼ね、1月31日午後6時から千代田区霞が関ビルの東海大学校友会館で開かれ、会員をはじめ関係友好団体やマスコミ関係者、さらに交流17カ国の在京大使館から大使ほか外交官ら200名を超える参会者で盛会を極めた。

  会ははじめに松前達郎会長があいさつ(別項)、創立40周年を迎えるに当たり、歴史を振り返り、これまで対文協に寄せられた多く支援、協力に対し感謝の意を述べ、伝統に奢ることなく、今後も幅広い交流を通じて、平和の探求に努めたいと語った。次いで来賓を代表してロシュコフ・ロシア連邦大使(別項)と山中暁子・外務大臣政務官によるあいさつの後、松前会長を囲んでロシュコフ大使、ブルガリア・センドフ大使、スロバキア・ヴルシャンスキー大使、山中政務官、日ロ協会の鳩山由紀夫会長、斉藤斗志二理事長、対文協顧問の成田豊・電通最高顧問の手によって鏡割りが行われ、センドフ大使の発声で、新年と合わせ創立40周年を祝って乾杯した。

  なお、ロシア大使のあいさつでは、ガルージン公使が通訳に当たるという異例のことに会場から大きな拍手が起こり、和やかな雰囲気のうちに2時間にわたり歓談、交流が展開された。

[松前会長あいさつ=要旨]

  創立40周年記念ということで、日本対外文化協会の歴史にふれて、ごあいさつ申しあげます。対文協が創立されたのは1966年でありますが、実はその2年前、当時冷戦構造の厳しい中でありましたが、私共はソ連を含めて、平和共存への道を求めようということで、協会設立に踏みきったわけであります。

  当時、日本の政治情勢の歴史の一つとして日本社会党とソ連共産党との交流が活発でありました。そうした中でソ連側から一つのサゼッションがありました。それは、日ソ間の政治問題の解決は難しい問題だが、学術、文化の交流という面からはじめてはどうかという提案があったわけです。日ソ関係を発展させるには、民間の相互交流が大切である。ソ連には民間交流を推進する団体「ソ連対外友好文化交流団体連合会」(通称・ソ連対文連)があるので、日本にそういう団体があれば、その団体と交流したい。ということでありました。

  この話が訪ソから帰国した成田書記長から、当時同じ社会党の衆議院議員でありました松前重義博士にもたらされのが、創立のきっかけとなったのであります。1966年に財界をはじめ、政界、文化団体など各界の広い範囲の皆さんから賛同をいただき、日本対外文化協会として正式に発足、ソ連のみでなく東欧諸国との交流を行い、今日に至ったわけであります。

  翌年8月に松前重義初代会長を団長とする代表団が、ソ連、東欧諸国を訪問しいわゆる民間外交のスタートをきったわけであります。なかでもブルガリアの訪問が印象的であったということです。ソフィア少年少女合唱団の清らかな声による歓迎に代表団は感動し、対文協の文化交流の第一弾としてこのブルガリア合唱団の日本招請が実施されたわけであります。

  爾来、国際交流を通じて、世界の恒久平和を実現したいという基本的理念に基づきながら文化、学術面での交流を続け、活発な運動を続けてきたわけであります。この間、政治体制の違う国々との交流ですから、簡単なことではなく、厳しい道のりでした。しかし、その努力の結果として、1979年東京で第1回の日ソ円卓会議を開催、以後東京とモスクワで交互に6回開催され、民間外交の指導的役割を果たしたものと考えております。

  1991年にソ連が崩壊し、これに伴って東欧諸国の政治体制も変わりました。とくに日ロ間においては比較的自由な交流が出来る時代に入って来ました。しかし、まだまだ問題は山積しております。これからの活動の展開につきましては、更に範囲を広げ、人間と人間の付き合いを中心に、いわゆる触れ合いを捉えながら今後も更なる努力を続けていきたいと考えております。今後とも一層のご叱正、ご協力をお願いいたします。

[ロシュコフ大使]

  皆さんおめでとうございます。また日本対外文化協会の創立40周年をお祝い申しあげます。(中略)ことしも日ロ関係については、やっていただく事がたくさんあると思います。とくに対文協の有識者による文化交流、高い政治レベルでのシンポジウムなど期待しております。日ロ関係、ロシアとの交流に高い関心を持っておられる松前会長をはじめ、対文協の皆さん方に改めてお礼を申しあげると共に、2006年が皆様方にとって良い年でありますよう、ご多幸をお祈りいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。


※ 関係団体新年会へ参加

  例の対文協第64回研究会を2月23日(木)午後6時から東京・霞が関ビル33階東海大学校友会館「三保の間」で開きます。今回は昨年中国とロシアが合同して行われた軍事演習など、ロシアの軍事戦略・国家安全保障戦略をテーマとします。講師には、防衛庁防衛研究所の兵頭慎治氏を招きます。会員2000円、一般3000円、学生無料です。お時間をお繰り合わせの上ご出席ください。 

[新刊]

※ 『日露オーラルヒストリー』――はざまで生きた証言 日本対外文化協会・日ロ歴史を記録する会編(彩流社刊 2940円)

  本書は対文協35周年記念事業の一環として発足した「日露オーラルヒストリー調査会」により聞き取り調査した23名の記録から5編を収録まとめたもので、満州国の建国と消滅、日中戦争、スターリン時代にいたる1920年から50年代を生き抜いた人々の証言は迫力と臨場感にあふれ、今後の日露、日中関係を考える上で多くの示唆を与えている。

[内容]

  大連で育ち、満鉄調査部に勤務した・丹羽新一郎/ハルビン育ちのラトビア人の数奇な運命・エドガルス・カッタイ/スターリン時代に粛清された両親の名誉回復を勝ち取った地質学者・ミハイル・スドウ/ロシア語の名著復刻に半生を捧げた元外交官・片山醇之助/ロシア語の出来た戦後初のモスクワ特派員・早川徹

[特 集]

◇ 欧州会議の反共産主義決議にロシア反発

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ 特典現金化の1年 (ブラスチ誌 1月23日)

◇ ブームに沸く「経済の鏡」広告業界の行方 (モスコウ・ニュース 4号)

◇ 右派政党後援の大企業家に検察手入れ (コメルサント紙 1月28日)

◇ ロシア文科省のお墨付きを狙う教科書 (論拠と事実 No.5)

◇ カジノピラミッド (論拠と事実 No.3)

◇ 信じられない、深夜ウオツカ販売禁止 (論拠と事実 No.6)

[資料]

◇ 社会院の幹部の顔ぶれ決まる
   ブラースチ誌 1月30日

[焦 点]

※軍事問題をもう一度見直そう
   対文協常務理事  加藤 順一