188号(2004・12・22)

[対文協だより]

※ 第56回対文協研究会開く

  台風接近のため開催を延期していた第56回対文協研究会は、11月30日午後6時から霞が関ビル・東海大学校友会館で50人を越す参加者を集め開かれた。今回のテーマは「プーチン大統領の対チェチェン政策」で、ロシアおよび中央アジア問題に詳しい、元NHK解説委員の植田樹氏を講師に迎え、チェチェン共和国の歴史から現代にいたるロシア連邦におけるチェチェンの位置づけを中心に検証、分析が行われ、新しい視点からのプーチン大統領の政策について1時間半におよぶ講演の後、密度のある質疑が行われた。


※ 松前会長、ブルガリア首相と会談

  日本政府の招待で13日来日した、ブルガリアのシメオン・サクスコブルクゴツキ首相は15日の小泉首相との会談に先立って、14日霞が関ビルの東海大学校友会館に松前達郎会長(東海大学総長)を表敬訪問、午後6時半から約2時間、夕食を交え会談、学術文化を通じての両国間の交流について意見を交わした。席上、サクスコブルクゴツキ首相はかねてから対文協と東海大学が研修生の受入れや、美術展の開催、ソフィア少年少女合唱団の招待公演など両国の友好親善に寄与したことに対し感謝の意を表した。


※ パノフ大使出版記念レセプション

  前駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏が、このほど在任中の想い出をまとめた回顧録「雷のち晴れ-日露外交7年間の真実」をNHK出版から出版され、その記念レセプションが11月25日午後7時から港区麻布台のロシア大使館で開かれ、新任地のノルウェーから来日したパノフ大使を囲んで、和やかな歓談交流の輪が展開され、後任のロシュコフ大使がユーモアをまじえてパノフ大使を紹介、参加者の喝采を浴びた。対文協からも藤井弘専務理事、平野裕常務理事らが出席した。


※ 「日露修好150周年」記念行事打ち合せ会

  日露修好150周年記念行事に関する2回目の打ち合せ会が11月29日午後2時から外務省で行われた。日ロ関係に携わる13の民間団体が出席、ロシア交流室長から経過説明があり、再度積極的な行事参加要請が行われた。出席者からはロシア側の取り組みについての質問が出されるなど、各団体とも具体的な計画については検討中ということで、さらに時間をかけて煮詰めることになった。

[新刊]

※ 『雷のち晴れ 日露外交七年間の真実』 アレクサンドル・パノフ(前駐日大使)著(鈴木康雄訳 NHK出版刊 本体1800円)

  昨年12月離任したパノフ大使の滞在7年の回顧録。題名の雷とは1997年1月の能登沖ロシア・タンカー重油流出事故と2002年初めの鈴木宗男スキャンダル、外務省幹部処分事件。日ロ関係はそうした嵐によく耐えて、歴史的なクラスノヤルスクの橋本・エリツィン会談から小渕、森首相時代を経て、2003年1月の小泉・プーチン両首脳による日ロ行動計画調印まで修復されてきた軌跡と内幕が語られる。ロシア外交官切っての知日派だけに資料的価値は最高級。来年は日露修好150周年でプーチン訪日もひかえた去る11月、現ノルウェー大使のパノフ氏自身が突然来日して東京麻布台の大使館で盛大な出版記念レセプションを催したこともさまざまな観測を呼んでいる話題の書である。


※ 『スターリン・その劇的な生涯』 ニコライ・ヤコブレフ著(佐藤賢明訳 新読書社刊・本体2600円)

  「いまなぜ○○○か・・」といった類の出版が多く見られるが、本書もその一つに入ろう。1991年ソ連邦が崩壊して10数年、これまで全く明らかにされていなかったスターリンの幼年、少年時代、そして革命運動に参加する時期についての記述、さらにレーニンやトロツキーとの関係、政権を把握するまでの過程、粛清にまつわる秘話等、またスターリンの思想構成要素としてのキリスト教(ロシア正教)とマルクス主義との関係も興味深い。著者のヤコブレフ氏はロシア科学アカデミー社会・政治調査研究所教授で、著名な歴史学者である。  

[特 集]

 「プーチン大統領の対チェチェン政策」
    中央アジア・ロシア問題専門家、元NHK解説委員 植田 樹氏

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇ ロシアの頭脳流出に手をやく教育省 (イズベスチヤ 11月26日)

◇ タタール語文字表記はキリル文字で (イズベスチヤ 11月17日)

◇ ロシア版忠犬ハチ公 (論拠と事実 No.47)

◇ テニスでもトップを走る (論拠と事実 No.47)

[焦 点]

※ リーダーの決断と国民意識の高揚
    対文協常務理事  加藤 順一