155号(2002・4・10)

[対文協だより]

*対文協研究会でパノフ大使講演

  対文協の第41回研究会はアレクサンドル・パノフ駐日ロシア連邦大使を迎えて3月14日午後5時半から霞が関ビルの東海大学校友会館で行われた。

  研究会は松前達郎会長のあいさつに次いで、パノフ大使が「日ロ関係の展望」について約1時間にわたり講演、北方領土問題の並行協議について、「イルクーツク首脳会談で生まれた可能性は無くなった。新しい交渉のベースを探さなければならない」と語り、この問題の「並行協議」を重ねて否定した。また出席者の質問に答え、北方四島支援事業など一連の疑惑を持たれている鈴木宗男議員の日ロ関係に与える影響について「根本的なレベルには関係ないが、事務的レベルでの影響は大きい」と懸念を表明すると共に、鈴木氏に近いとされる東郷和彦駐オランダ大使や佐藤優前主任分析官についても「日露関係を改善しようとした人が、国の裏切り者とかスパイと批判されているのはおかしい。日本の外交官で、今この2人以上のロシア専門家はいない」と擁護した。

  研究会は、鈴木議員の北方領土をめぐる疑惑問題が微妙な段階にきた時だけに、一般参加者を含め約100名が熱心にパノフ大使の講演に聞き入った。同大使は鈴木議員に対する対応に戸惑いを見せながらも、現在の日露関係に真正面から向き合う発言をし好感を持たれた。なお、研究会でのパノフ大使の講演は、翌日の朝刊各紙が取り上げるなど大きな反響を呼んだ。


*ロシア美術「極東モダニズム展」開く

  ロシア美術を紹介する「極東ロシアのモダニズム1918-1928」展(日本対外文化協会・東京新聞・町田市立国際版画美術館・同展実行委員会主催/外務省・在日ロシア連邦大使館後援)が4月6日から町田市の市立国際版画美術館で開かれた。同展は革命期のロシアで台頭してきたアヴァンギャルド芸術が日本の近代美術史にどのような影響を及ぼしたかを明らかにしようというもので、わが国でも初めての試みによる画期的な美術展。

  5日は午後2時から同美術館でロシア極東美術館のワレンチナ・ザポローシュスカヤ館長ら7人の代表団ら関係者約100人が出席して内覧会をかねた開会式が行われた。開会式は主催者を代表して青木茂・同美術館長、山田雄三・同市教育長、南行夫・中日新聞東京本社代表が、また来賓の寺田和雄・町田市長、ホホエフ・ロシア大使館参事官がそれぞれあいさつを述べ、ザポローシュカヤ館長らの手によってテープカットが行われ開幕した。同展は1920年前後の極東ロシアのモダニズム美術をハバロフスクの極東美術館をはじめ、同地方郷土誌博物館、ウラジオストクの沿海地方絵画美術館、チタ州郷土誌博物館からの約170点とロシア未来派の画家が日本にもたらした新興美術約140点からなり「プロローグロシア・アヴァンギャルド」「未来派と革命のプロパガンダ」「極東ロシアのモダニズム」「日本の近代美術」の4つのパートに分け展示している。

  同展は5月19日まで開催(月曜休館)、このあと宇都宮、函館を巡回展示の予定。

[特 集]

◇  ロシアの飛び地カリーニングラード
 ◎  八方塞がり地域圏
 ◎  ますます遠く、遠ざかる
  (コメルサント紙3月19日)

[ロシアの新聞・雑誌から]

◇TV6は「メディア・企業連合に」 (モメルサント 3月29、30日)

◇ネムツォフ「右派勢力連合」、野党に (コメルサント 3月20日)

◇プーチン人気の中身は (イズベスチヤ 3月26日)
 ◎  プーチンはロシア人の抱く理想的リーダーの原型
 ◎  独裁主義と無政府主義に分化する傾向の出現

◇科学・技術で国家的会議 (イズベスチヤ 3月20・22日)

◇ニコライ2世の母、ペテルブルクに改葬 (イズベスチヤ 3月22日)

◇著名学者殺人事件続発 (イズベスチヤ 3月21・29日)

◇インツーリストホテル跡に開発案が5つ (論拠と事実 No。13)

◇なぜ「タラ」は肉より高価なのか (論拠と事実 No。13) 

[資 料]

◇  ロシア実業界の女性トップ50人
   (モスコーフキイエ・ノーボスチ 9号)

[焦 点]

◇  「構造的疑惑」の大罪
   (対文協常務理事  加藤 順一)